更新日:2013年4月3日 |
子ども・子育て会議 |
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日本は、学校教育制度は世界にひけを取らない程度に整っているが、子育ての制度は先進諸国にかなりひけを取っている。
それが、まだ取らぬ狸ではあるが、消費税率の引き上げが実現すれば七千億円ほど子育てにまわってくることになって、多少は先進国に追いつけよるうになり、その流れにそって、昨年の八月には子ども・子育て関連三法案も成立し、幼児期の学校教育・保育、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進する仕組みができた。
その一つとして、この四月から、地方自治体は、子ども・子育て会議(子ども・子育て支援法七七条「審議会その他の合議制の機関」)を置くことができることになった。法律上は努力義務になっているが、幼児期の子育ては、子どもがその能力と生きる意欲を伸ばす基礎となるきわめて重要な活動であるから、自治体は力あふれる社会をつくるために、必ずこの会議を設置し、ここに子育ての当事者の参加を得て、子育てに関する地域社会のニーズに的確に応える施策を立案、実施してほしいと切に願っている。
では、その会議で、どういう共通の理念に立って議論するのか。
それは、子ども・子育て会議を定める子ども・子育て支援法が定めている。「一人一人の子どもが健やかに成長することができる社会の実現」(同法一条)である。子育てをする側が子育てしやすいような社会にすることが目的ではなく、それは、子どもの成長にプラスになる限りにおいて重要な要素になるということである。
では、子どもの成長とは何か。これについては、児童の権利に関する条約二九条一項(a)号が参考になる。児童教育は「児童の人格、才能並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限まで発達させること」を指向すべきだとしている。就学前の子どもは、同年齢や異年齢の子どもたちと交わり、共に遊ぶことによって、自分の能力を発揮する快感や、仲間とコミュニケートし、理解し、協力する喜びを体験する。それが、それぞれの人格、才能、能力を健やかに伸ばすベースになる。親も社会も、子どもがそのようにして成長する地域の環境をつくっていきたい。 |
(「厚生福祉」巻頭言 2013.3.12掲載) |
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