更新日:2008年9月1日 |
高齢者の心構え
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元気な高齢者は、どんな心構えで生きていくのがよいか。
高齢者を支える活動をしていると、この難しい問題に、自分なりの答を持つことが求められる。私は、高齢者関係の団体がつくったある協議会の代表をしている関係で、毎年、その集会でメッセージを述べることにしている。
一昨年のそれは、「高齢者は、できる限り、社会に貢献する義務がある」というものであった。私が1991年にボランティアの世界に入って以来、心の中では思っていたが口には出せなかったことを、2006年になってはじめて言ったのである。義務といっても、もちろん強制を伴う義務ではない。それにしても、これだけ高齢者が増え、長生きする社会になったのだから、元気なのにぶらぶらしていないで、社会に役立つようなことをする社会的な義務があると考えてもよいのではなかろうか。高齢者も、若い者に負けずに頑張るぞくらいの心意気を持って生きてほしいと思う。
昨年は、「高齢者も夢をもって生きよう」というメッセージを出した。夢というとロマンチックな若者の特権のようで、気恥ずかしいと受け取られるおそれがあった。しかし、第二、第三の人生に挑戦する高齢者が当たり前になってきた以上、夢を持って挑んでほしいと思ったのである。
今年は、「高齢者は、若者をバックアップするために、主張しよう」と訴えた。日本の高齢者は、投票者の率では実質50%を超え、政治家たちは、政策を決めるに当たっては高齢者の意向をいちばん気にしている。
しかし、未来を担うのは若者たちであり、彼らが生活基盤を確立し、その能力を社会に存分に生かしてこそ、社会は活力を得る。高齢者は、長年にわたる経験で培った知恵を伝え、若者たちの成長を背後から支えて、社会の進展に役立つべきではなかろうか。
若者の生活を犠牲にするようなエゴを主張するのはよくないと思う。 |
(京都新聞コラム「暖流」2008年8月10日掲載) |
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