更新日:2010年6月23日 |
子どものことは 子どもに聞こう |
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18歳以下の子どもたちが、非行少年に対する処分を決める。アメリカのほとんどの州で実際に行われている司法手続きで、ティーンコートと呼ばれる。1970年代ごろから導入され始め、万引きや暴走、喫煙などの非行を犯した少年が、同年輩の少年たちの審判を受け、処分を決定されている。審判する側の少年は、訓練を受けた後、実際の事件の判断を任される。大人も専門家も介入しない。
素人の少年たちの審判を受けた非行少年たちは、専門家の審判を受けた非行少年たちよりも、再犯率が低いことが実証されているという。子どもたちの方が子どものことをよく判(わか)り、正しい判断をしているということであろう。
そこで私のオピニオン第1号は、「子どものことは子どもに聞こう」である。
高校生に限らない、中学生でも小学生でも、そう思う。実際、子どもたちは、幼くても、驚くほど素直でしっかりした意見を持っている。ただし、本音は、子どもがこれを話したいという気になったときにしか、聞けない。上から、一定の方向に誘導しようとして聞いていると思われたら、「別にィ」である。
私は、学校の管理とか授業の進め方とか、大抵のことは子どもに決めさせればよいと思っているが、それは教育の専門家を含む多くの大人たちには、極めて過激な意見に聞こえるようである。
実際、私も文部科学省の審議会とか委員会などに、いろいろと参加してきたが、いつも配られる分厚い資料の中に、子どもたちの意見を調べた結果が入っていた試しはない。この問題について、当事者である子どもたちはどう考え、感じ、望んでいるのであろうか。そのことも分からないで、子ども時代のことをすっかり忘れてしまった大人たちだけで議論して決めていいのであろうか、と、疑問でならなかった。
生徒たちを、教えるべき対象者としてしか見ていない教育者が多いのではなかろうか。
その感覚を改めるところから教育は始まると思っている。 |
(日本教育新聞社発行「週刊教育資料」No.1118
[マイオピニオン]2010年5月24日号掲載)
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