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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2008年1月10日

進路をどう取るか

  私がボランティアの世界に飛び込んでから16年、初めてちょっとした停滞感を味わっている。
  これまでは、紆余曲折はあったにせよ、その時々の障害にぶつかりながら、前進してきた。「新しいふれあい社会の創造」という理念は不動、目標は適切に打ち立て、戦略も有効に選択してきたし、活動しながら、十分過ぎるほどの手応えを感じてきた。ところが、去年くらいから、何となく手応えが弱くなってきたのである。
  原因は、二つほどあると思う。一つは、介護保険をはじめ、福祉の基礎がゆらいできたことである。ゆらいだ原因は、一(いつ)にかかって、財政難である。そのため、プロのヘルパーたちが介護などの世界から逃げ出し、われわれの活動の基礎である福祉が、迷走し始めた。せっかくすべての人が主体的に選択できる介護保険制度を樹立し、若者だけでなく主婦たちも志を持ってヘルパーに参入してきてくれたのに、その勢いが急に停まってしまった。経済的に要求される最低限度の保障を与えることができなかったためである。「ままならぬ 政事(まつりごと)かな 初の霜」という年賀の句には、そういう思いを込めている。
  基礎がゆらいでいては、戦略も立て直さざるをえない。居場所づくりなど、ふれあい社会の構築に向け、これまでのとおり歩を進めるか、それとも少し戻って、介護の補強のため行政に力を貸すか。当面は、両にらみで進むほかない。
  もう一つは、福祉関係のボランティア参入に一時的な足踏みが見え始めたことである。
  これまでは、参入の勢いは着実であった。全国各地、福祉関係のボランティア活動のないところはないといえるくらいのところまできた。そして、「やりそうな人はもうやり、やりそうでない層が残った」という状態に近づきつつあるのかなと直感するのである。子育てや、環境、海外、町づくりなどの分野ではボランティアはまだまだ伸びるだろう。しかし、高齢者の分野ではどうだろうか。団塊の世代に入ると、自立精神は強いが共助の精神がその上の世代より
薄くなり、その傾向が団塊の下の世代まで続くように感じられる。育った時代背景から来るのであろうか。
  ただこの点は、サラリーマンの壁を、その働き方、生き方を変える(人間的なものにする)ことにより破るとともに、子ども世代の学び方、生き方を変える(入間力を付ける)ことにより、底上げしていけば、解決できると考えている。
  私たちは、あくまで真正面から取り組んで行く。
  政事の方も、真正面から難事に立ち向かってほしい。
(『さぁ、言おう』2008年1月号)
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