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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2008年4月10日

お知恵拝借

  今回は、知恵をお借りしたい実務上の問題を二つ書かせてもらう。
  どちらも介護保険のサービスと、私たちのふれあいボランティアサービスとの関係についての問題である。
  一つは、この両方のサービスを受ける場合に、ふれあいボランティアのサービスをどう評価するかである。
  私たちは、「ふれあいサービスは介護保険サービスと車の両輪をなすものであって、精神面での支援の要素の強いふれあいサービスが、身体や生活の基本を支える介護保険サービスとネットワークを組んで提供されて初めて、尊厳を支える包括的サービスが実現する」と考えている。ふれあいボランティアの普及も、ネットワーク形成の推進も、そういう信念に基づいて行ってきている。
  ところが、介護保険サービスを担当するケアマネジャーのほとんどは、ふれあいサービスは担当外ということで目もくれないし、例外的に利用者のニーズ全体に目を配る素晴らしいケアマネジャーがいても、その多くは、「ふれあいサービス、あるいはもう少し広くインフォーマルサービスは、介護保険のサービスが足りない時にそれを補うもの」というように、両者を同じ性質のサービスととらえ、インフォーマルサービスは補完的なものと評価していることである。
  ケアマネジャーがそういう認識だから、利用者も同じような認識だと推測される。
  こういう実態に、私たちはどのように対応していけばよいのだろうか。
  二つめの問題も同じで、介護保険サービスと、有償の(正確には、謝礼金を伴う)ふれあいサービスとの関係である。
  介護保険サービスを受ける利用者や担当のケアマネジャーが、先に述べたようにふれあいサービスを補完的サービスと認識している場合に、「ふれあいサービスは介護保険サービスより高いから、なるべく使わないほうが(利用者のために)好ましい」と考えているという問題である。
  この考え方は、明らかに間違っている。介護保険サービスは、利用者の負担額がサービス費の原則一割であるから、ふれあいボランティア団体が例示している謝礼金の標準額よりは支払額が安くなるのが普通である。だから、利用者が、サービスを受けた際に負担する額からすれば、先に書いたように感じるのは責められない。しかし、介護保険サービスの実額は負担額の十倍であり、九倍分は自分を含むみんなで負担しているのである。
  そのことにどう思いを致してもらえばよいのであろうか。それとも、いわゆる有償ボランティアのあり方も、再検討しなければならないのであろうか。ここを整理しないと、ふれあいボランティアの本質を正しく理解して、活用してもらうのが難しいかもしれない。ふれあいサービスを介護保険サービスを受けている人たちも広く活用し、その尊厳を保持して暮らしてもらうために、お知恵を拝借したい。

(『さぁ、言おう』2008年4月号)

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