政治・経済・社会
(財)さわやか福祉財団ホームページへ
 
定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2008年5月13日

弱者を強者に

  政治が低迷し、経済が混乱している。
  小泉内閣は、構造改革断行の旗印を掲げ、国民はこれに共感して、厳しい経済環境に耐えた。構造改革が未完のまま、小泉さんは、改革の負の作用である格差拡大を残して去り、政治はまたぞろ昔の利権構造に戻る気配を見せている。経済も方向性を失い、格差を温存しつつ改革を怠る態度に出ている。これでは、国民に元気が出るはずはない。
  道路族が何と言おうと官僚たちが何と言おうと構造改革は完成させねばならず、地方に権限と責任を移す、真の意味の地方分権も実現しなければならない。そうしないと、日本は激化するグローバルな経済競争から落伍する。
  しかし、同時に、格差は解消し、いわゆる経済的弱者を含め、すべての国民、市民が、安心していきいきと暮らせる社会にしなければならない。小泉さんに欠けていたのはこの目標であり、そのための政策であった。
  では、どうすればよいのか。
  これまで私たちが主張してきたとおり、働く構造を改革すればよい。構造改革がもっぱら企業強化のために行われ、働く人たちのための改革という半面が抜け落ちていたため、格差拡大という負の作用が吹き荒れたのである。
  構造改革によってグローバルな産業の自律的発展をうながす一方、産業構造を改革し、福祉や教育など、人を直接の対象とする事業の飛躍的拡大を図る。
政府の力と金は、ここに注ぐべきである。今必要なのは、道路でなく人の幸せであり、これによって地方の復活を図るべきである。また、揺らぎ出した介護保険の基盤も、これで立て直せる。介護保険が必要とするのは金(財政)であって、制度の改正ではない。
  そして、正しい意味での労働改革が実行されなければならない。それが、「人間開花社会」、すなわち、「働くことを選べる社会」の実現である。特に、人を相手とする事業では、さまざまな能力の働き手が求められる。福祉でも教育でも、その対象者のニーズが人に応じて多様だからである。この分野で、障碍者を含む多様な人々がそれぞれの能力を生かして働く雇用の仕組みを実現し、これを他の産業にも広めていく。これによって、すべての人が、その時々のニーズに応じ、働きたいように働く社会を実現する。そして、福祉や教育の対象者に、安心と希望が生まれ、すべての働く人々にいきがいが生まれる。
  弱者を、強者にするのである。
  政治は、暗闇の迷走から立ち止まり、国民に活力と安心をもたらすための目標とこれを目指す道筋を示さなければならない。

(『さぁ、言おう』2008年5月号)

バックナンバー   一覧へ
 [日付は更新日]
2008年4月10日 お知恵拝借
2008年3月10日 新公益法人の税制を活用するために
2008年2月7日 居場所の公益性
2008年1月10日 進路をどう取るか
  このページの先頭へ
堀田ドットネット サイトマップ トップページへ