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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2009年9月9日

名刺両面大作戦

 勤労者は、せめて一つ、NPO活動なり地域活動なり、社会に役立つ活動をしよう。
 これが名刺両面大作戦の目標である。
 活動といっても、たとえばNPOの会員になるだけでよい。町内の「火の用心」に参加するのも、もちろん立派に社会に役立つ活動である。
 そして、その活動を名刺の裏に刷ろう。
 これが目標を達成するための手段である。
 日本の勤労者は、必ずといってよいほど、名刺を出す。勤務先と役職を口頭で名乗りながら、それでも名刺を出す。このように、名刺をただ確認の手段に止めておくだけではもったいない。その裏に、自分が参加しているNPO活動や地域活動などを書いてはどうだろう。
 すると、名刺の裏を見た相手方は、「ほう、こんな活動もしているのですか」と興味を示す。どんな人間なのか知りたいからである。そこで、その活動の説明をする。パーティーなどでは格好の話題となる。相手にあなたの一面を知ってもらうことになるし、その活動の宣伝にもなる。ぜひ「さわやか福祉財団パートナー」と刷ってほしい。相手は、「ほう、あなたはそんないい活動に毎年寄付してられるんですか。そんな立派な活動をしておられる方とは存じ上げず、失礼しました」となる!「私もぜひそのパートナーに参加させて下さい」となるかも知れない!!
 そしてそれは、勤め先のCSRにもなるだろう。
 さらに、あなたが社会に役立つ活動をすることは、社会にとっても家族にとってもプラスになる。ワークライフバランスを勧める労組も喜ぶ。
 この一挙何得にもなる活動を、名刺一面の印刷を加えるだけの負担で展開することができるのである。
 あなたもやってみませんか。また、誰かに勧めてくれませんか。
           *      *     *
 少し裏話をすると、この作戦は、人間力再生プロジェクトリーダーの大畠さん、学研から研修に来てくれている中島君と私との3人の勉強会から生まれた。その勉強会は、新公益法人成立を機に催す予定の3つの研究会の1つについて、参加メンバーなどを検討するものであった。その研究会の目的は、何年かにわたり、それなりのお金(厚労省からの委託金など)とわが財団のマンパワーを注入して挑戦してきた「勤労者を地域活動に参加させる作戦」をどう進めるかの戦略を練ることにある。これまでさまざまな角度から挑戦し、一応は成功するのだが、それっきりで広がらない。勤労者のこの厚い壁を崩すには、どうずればよいか。
「研究会を起ち上げる前に、我々でおおまかな考えをまとめておく必要がある」。そういう話になって、大畠さんが地域活動参加のメリットを図面にしているうちに、私の頭に、名刺の裏を使うアイデアがひらめいたのである。
 さっそく財団職員に刷ってもらったら、面白い。その人の意外な側面がわかるし、想像もできない活動が存在していることもわかる。これでもう研究会を開かなくても、戦略は出来上がった。
 私がパネリストとして参加した郵便事業株式会社主催の年賀寄付を推進するフォーラムで、壇上から北村憲雄CEOに「名刺の裏にローマ字を印刷するくらいなら、年賀寄付参加者と刷ってくれませんか」と発言した。北村さんはあとで「さっそく社員に勧めます」と言われた。内閣府と高連協共催のフォーラムのあいさつで話したら、内閣府の参事官や会場の何人もの組織リーダーたちが「私たちもやります」と言ってくれた。
 説明は簡単、効果も明白である。口コミでどんどん広がり、やがて「名刺の裏に何も刷れない勤労者は、さて、いかがなものか」と内心評価するような社会の風習が出来上がってほしい。そうすれば、日本の社会はずっと住みよく楽しい社会になると、早くも熱い期待を抱いている。
 勤労者でなくても、名刺であなたの思いを社会に伝えてみませんか。

(『さぁ、言おう』2009年9月号)

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2009年7月9日 曲がったことはしたくない
2009年6月9日 謝礼金とふれあい活動
2009年5月9日 宅老所を不当に規制するな
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