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提言 福祉・NPO・ボランティア
更新日:2006年3月25日
ネットワーク
  福祉も医療もその最終目的が本人の尊厳ある生き方(QOL)の確保だとすると、尊厳ある生き方をするのに必要なさまざまな福祉・医療サービスが、本人にもっとも適切になるように、ネットワークを組んで提供されなければならない。
  その必要性はとみに認識され始めており、好ましいことであるが、ネットワークには定型がないから、結構組むのが難しい。
  一番多い例は、サービス提供者同士が協議会をつくり、参加者名簿をそろえ、定期的に会合を開いて、ネットワークを組んだとするものである。
  それが市民にとって有益なものとなるのは、その協議会が、個々の市民に必要とされるサービス提供者によるネットワーク形成に役立ったときである。つまり、自宅にいるAの世話をしているヘルパーBが、Aから「訪問看護とふれあいボランティアサービスがほしい」と言われ、その協議会に取り次ぐと、協議会の方で斡旋(あっせん)して、Aに適する看護師Cと、ボランティアDを紹介してくれ、B、C、Dの間でケアのネットワークが組まれるところまでいってはじめて、ネットワークの機能が果たせるのである。
  そういう有効なネットワークの組み方としては、はじめにサービス提供事業者間の協議会が組まれ、そこから個別のネットワークに下りていく方法と、個々の人に対する必要なサービス提供者が個別のネットワークを組み、それが上に伸びていって事業者間の協議会が組まれる方法があるが、どちらでもよい。両方から組み立てられていって、がっちりと連携が結ばれるのが一番よい。
  これからは、地域包括支援センターが、個別のネットワークづくりの中核となってほしい。それがセンターのもっとも重要な役割であり、その機能をどれだけ果たすかで、その地域の在宅福祉・医療の質が決まる。そして、センターの運営協議会が事業者間のネットワークづくりを推進するのが望ましい。
  個別のネットワークを動かすには、ケアマネジャーの気配りが重要であるが、その際大切なのは、ボランティアや近隣の人々などをネットワークに組み込むことである。尊厳ある暮らしには、彼らの力が欠かせないからである。
(時事通信社「厚生福祉」第5359号掲載/2006年3月14日発行)
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