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提言 福祉・NPO・ボランティア
更新日:2006年10月24日
社会福祉士の役割
  介護福祉士と違って、社会福祉士については、その役割がもうひとつはっきりしないせいか、需要も盛んとはいえない。
  役割は、社会福祉士及び介護福祉士法に書いてあって、「福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと」とある。しかし、相談援助のニーズは、介護に対するニーズほどに日常的ではない。だから、地域包括支援センターに配置された社会福祉士は、結局ケアマネジャーと同じような仕事をしていることが多いときく。
  法律で定められた業務である「相談援助」は、「介護」と違って、中味がない。福祉に関する相談の中味は、介護サービスについての不満から、自己負担金の苦情、施設あるいは在宅での人的環境の調整、就労・就学のあっせん、安全の確保など多種多様であって、その幅はきわめて広い。援助の中味も、同様である。そして、相談された問題の解決や求められる援助の提供は、その社会福祉士ひとりの力では難しい場合が少なくない。それをどこまでやるかについては、その社会福祉士が良心的であればあるほど、悩むところであろう。
  にもかかわらず、法律は、相談援助の中味については何も書いていない。だから、役割がはっきりしないのである。
  そうなると、制度の趣旨から考えるほかない。私は、相談援助は、相手の尊厳の保持とそのための自立支援という、福祉の最終目的を実現するという視点から行うべきであると思う。サービスを必要とする相手については、必要なフォーマル、インフォーマルの双方を含めた多様なサービスが、本人にもっとも適した形でネットワークを組んで包括的に提供されるよう、必要なサービスの創出と、それぞれのネットワークの形成とを働きかける役割を果たすべきである。就労支援、虐待防止、成年後見なども、民生委員やボランティアその他の関係者と協力しながら、社会資源への働きかけを行わなければならない。
  そのように、相談援助の中味を、自立支援と尊厳保持のレベルで実現してこそ、社会の期待に応える資格ということになる。相談を待つという受身ではなく、積極的に社会の仕組みを創(つく)る姿勢を取れば、需要は山のように来るであろう。
(時事通信社「厚生福祉」2006年10月6日掲載)
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