更新日:2008年7月6日 |
ヘルパーさんへの給与 |
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介護の仕事を辞める人が増えている。ヘルパーさんになろうという人も減っている。給与が安すぎるのが主な原因である。
そこで、ヘルパーさんの給与を2万円程度上げようとする法律案が野党から提出されたが、国会を通らなかった。これに代わって与野党一致で成立したのは、上げることを前向きに検討しましょうという趣旨の法律である。要するに、どう上げるかの宿題が残されたのである。
ところが、これが難しい宿題である。
ヘルパーさんへの報酬は、市町村から介護事業者に支払われる介護報酬から支払われるが、この額を上げても、それがヘルパーさんに回るとは限らない。欲張りな事業者が取ってしまうかもしれない。
それでは、その分をヘルパーさんの分と指定できるかというと、それは事業者の収入の使い方を固定するから難しい。ヘルパーさんにしっかり給与を払っている事業者に割増金をつけるという方法もあるが、給与が高いだけで事業の方は手抜きしている事業者もいるから、この方法にも難点がある。
厚生労働省に研究会がつくられたが、ヘルパーさんのなり手が減っているのは給与の問題だけではないなどといろいろな説が出て、迷走気味である。民間の研究会もあるが、どうすればよいかという知恵は、出ていない。
外国からヘルパーさんに来てもらう道も少し開かれたが、これには介護福祉士会などが反対している。そのため給与がさらに安くなっては困るからである。
そうならないようにして来てもらおうとすると、結局、ヘルパーさんの給与をどう上げるかという、もとの問題に戻ってしまう。
ここは知恵の出しどころである。
市民から広くアイディアを募ってはどうだろう。利用者が、よくやるヘルパーさんに加算のポイントをつけるとか、思い切った案が出るかもしれない。 |
(京都新聞コラム「暖流」2008年6月29日掲載) |
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