| 更新日:2011年7月7日 | 
 
| 復興支援―原点は、ふれあい | 
 
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 私たちの復興支援は、ふれあいを広め、深める活動から取りかかるのがよい。 
   このひと月ほどの間、震災からの復興がいろいろともたつく中で、私が得た教訓である。 
   「はっきりしない時は、原点に戻れ」ということである。 
   復興は、被災者の願いであり、日本全体の願いである。 
   それには、目指す姿が要る。それが、「地域包括ケアの町」である。もちろん、産業が立ち直り、自立の仕組みが整備されるのに伴って、安心を創り出す包括ケアが実現していくという工程を前提としている。 
   私たちが「地域包括ケア」を目指すのは、そこに、ふれあいといきがいをしっかり組み込んでいるからである。逆にいえば、ふれあい、いきがいを置き去りにしたケアの仕組みは、人々の尊厳を確保するものにはならない。 
   そういう理由で「地域包括ケアの町」への復興を働きかけているが、これが力仕事である。仮設住宅をどう設けるのか、を決めるのも大変な作業であり、それにサポート拠点を付ける作業も、なかなか進まない。お金も人手も必要で、被災地の自治体の多くは、そういう作業をする余裕がない。 
   自治体が動かないものを、私たちが動かすことは、とても出来ない。私たちは智恵とアイデアは提供するが、動かない自治体に対しては、私たちの智恵もアイデアも届かない。 
   自治体の基礎的な復興作業が停滞気味の中、それでは、私たちはすることがないのか。 
   そうではない。自治体の作業はどうであろうと、被災した人たちの生活は、1日たりともとぎれることはない。避難所で、仮設住宅で、あるいは県外で、親戚の家で、戻った自宅で、毎日、生活は続いている。そして、どんな人にも、温かいふれあい、助けあいが要る。それは、心に欠かせない栄養剤である。 
   だから、私たちは、ふれあいを広め、深める活動を、途切らせることはできない。 
   ふれあいサロン付きのサポート拠点の建設が遅れているのであれば、私たちは、ふれあいパラソル、ふれあいカー、ふれあいバスツアー、など、さまざまなやり方を考えて、ふれあい活動を続けなければならない。また、地域や県外避難地で、そういう活動を引き出す仕掛けをしなければならない。 
   もしそういう活動に資金が必要であれば、政府はいくつかの資金を用意している。 
   私たちは、待っていることはできないのである。 | 
 
| (「さぁ言おう」「東日本大震災」2011年7月特別号掲載) | 
 
 
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