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提言 生き方・その他
更新日:2009年1月22日

よみがえる

 子どものころは、宿題が終わると町内の子ども仲間と群れ遊んだ。高校生になっても大学生になっても、時間ができると仲間の家を訪ねて語り合ったし、わが家の離れは、仲間が来て飲み、食べ、泊っていく梁山泊(りょうざんぱく)のようになっていた。そういう交わりが、私を成長させてくれたと思う。
  今、後期高齢者目前の年齢になって、「人はいくつになっても子どもの頃と同じなんだな」と思う。仲間とワイワイガヤガヤとやっているのが楽しいし、そこで刺激を受け、新しいことを学んでいる。
  ここ数年、全国に「居場所」が広がっている。高齢者だけでなく、障害者、外国人、介護に疲れた人たちなどいろいろな人が、なんとなくあたたかい交わりを求めて集まる場所である。形は別に決まっておらず、玄関先にベンチ一つ置いただけのものから、自宅の居間を常時開放するもの、カフェや居酒屋を居場所にするもの、空き教室を地域に提供するものなど、さまざまである。
  「居場所」が広がり始めてわかったことは、それが意外な効果を持っていることである。高齢者が役割を得ていきいきし、要介護状態から脱して自立したり、ひきこもりの子どもや若者がよみがえって学校や社会に復帰したり、仲間の紹介で障害者が働く場を得るなど、人との交わりが人間性の回復に大きな力を持つことが証明されたのである。
  1999年に名古屋の旧宅を改造してクニハウスを始められた佛教大学教授の丹羽國子さんも、その効果を自ら体験された一人である。クニハウスは「まちの縁側」と呼ばれ、数多くの人々に安らぎと活力をもたらした。
  今、丹羽さんは、さらに大きな夢を持って、京都の紫野十二坊町のハルハウス(075―451―6733)を発展しようとしておられる。冷たい社会に傷つく人たちをあたたかく受け止め、よみがえらせる交わりの場である。応援する人が増えたらうれしい。
(京都新聞コラム「暖流」2009年1月18日掲載)
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2008年10月2日 自立心あればこその親子愛−『父母への手紙』・書評
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