更新日:2011年5月12日
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おばさん賛歌 |
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今、日本で元気なのは、おばさんである。
ボランティア活動を広める私の仲間は、全国の「さわやかインストラクター」200人が中核メンバーであるが、4人に3人がおばさんである。
その活気あふれるエネルギーには、おじさんはとてもかなわない。彼女らの心配りで、乾杯の音頭取りはおじさんの役回りになるが、食べ、飲み、しゃべる段になれば、おじさんは押されっ放しである。
行動力が違う。
「それ、いいよね」となると、もう動き出している。迷わない。
「お金?なんとかなるわよ」
「人?あたしが集めてくる」
「場所?ただで貸してくれるところがきっとあるわよ。少子化してるんだから」
プランが立たないと動き出せないおじさんが、「え? え? え?」と頬をひきつらせている間に、ことは進んでしまう。
「規約?それは作ってくださいよ。会社でそんなことばかりやってらしたんでしょ?」
そういうわけでもないが、面倒な作業はおじさんの受け持ちとなる。
学習意欲もすごい。
ボランティアの世界に入ってまだ1、2年なのに、
「ちょっとイギリスに行って、むこうのやり方を見て来ます」
「え?英語は?」
「私はできないけど、行けば何とかなるでしょ」
どう何とかしたのかわからないが、それなりの見識を獲得して帰って来るから、不思議である。
今まで勤務した経験などないのに、人使いも大したもので、大会社の幹部だったおじさんが、「あなたがいて下さるからやれるの」などと甘い声でささやかれて、目尻を下げている。
この素晴らしい能力がどこに隠れていたのかわからないが、これを社会のために発揮して頂かない手はない。
女性ばかりの温泉旅行でのドンチャカ騒ぎとか、韓国へのイケメン男優追っかけ旅行とか、それだけにあのすさまじいエネルギーを消費してしまうのは、何とももったいないのである。
もっと子育てに力を借りてはどうだろう。
子どもというのは、ご近所で遊びまわって育つものである。親とだけしかつながっていない子が、たくましく育つわけがない。
もっとご近所の助け合いの門を開いてはどうだろう。助けたくてうずうずするのに、「お節介」などと白い眼で拒まれるのをおそれて抑制し、その分ご自分の亭主をかまいすぎてダメにしているおばさんが、少なくない。
引きこもりがちなご主人を、上手に地域に連れ出してほしい。男女共同参画時代なのだから。 |
(「潮」2011年3月号−ずいひつ『波音』掲載)
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