更新日:2006年11月14日 |
「政治をよい方向へ」
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安倍内閣の始動
安倍内閣が日本を右寄り、戦争寄りの方向に引っ張るのではないかと心配していたが、今までのところは、総理就任前の発言よりずいぶん穏健なラインで政治を進めている。言ってることとやってることが、良い方向に違っているという感じである。
がっかりしたのは、民主党と経済財政諮問会議である。
防衛庁の省昇格問題
民主党は、防衛庁の省昇格に抵抗しなくてよいのか。北朝鮮の脅威を除去するのは、軍事力、防衛力ではない。その強化は、相手の反発と対抗手段の強化をもたらすだけである。日本の経済力を国際協力のもと有効に駆使して、北朝鮮の民衆と軍の蜂起を誘導し、独裁政権を内部崩壊させることが、もっとも少ない犠牲による平和と幸福の回復への王道である。官邸主導により、英知あふれる精密な総合的戦略を樹立し、着実かつ有効に対策を進めてほしい。北朝鮮の末期症状的な脅迫にまどわされて、有害無益な対抗策に走り、税金を無駄遣いするのは止めること。軍事力に頼るアメリカの言動にもまどわされないよう、ここは賢い判断を求めたい。
経済財政諮問会議と法人税減税問題
経済財政諮問会議も、人が変わったとたんに法人税減税とは、視野が狭すぎないか。
全国民の生活の安定と活力と将来への希望が少子高齢化への対応策にかかっている時に、企業のことしか考えられないのか、と思う。国民生活の持続のために消費税のかなりの幅のアップが必至となっている現在、そこで法人税を減税してどうして国民の理解が得られるのか。
しかも、その理由が、発展途上国の税率が日本より低く、競争がきびしいというのは、たとえそれが経営者の実感であるとしても、政策立案の視点が低すぎる。
発展途上国あるいは後発先進国が、国家エゴの政策で先発国を追うのは当然のことである。
その状況の中で、より進んだ技術やアイディアを開発して新しい分野の製品やサービスを開拓し、これによって収益を確保しながら顧客と労働者の生活レベルを向上させ、人類の進歩と発展に寄与するのが先発先進国の役割である。経済財政諮問会議で財界代表者が主張すべきは、そういう普遍的な道理に立脚した政策である。科学技術だけでなく、生活レベルの向上に資する文化的、芸術的なセンスや、多様な生き方を支援するための製品開発のセンスを磨く教育の導入と充実、そして世界をリードするその種の才能の持ち主の発掘、養成の仕組みの導入、世界の人々が歓迎する製品やサービスを開発する方向への企業の誘導などを国是とし、そのための政策を主張してこそ、財界代表者が国の基本政策の形成に参与する意味が生まれるのではないか。また、政治家や学者は、国民の視点に立って、財界代表の議論を制御、善導すべきではないか。
そうでなければ、官邸主導による政策の策定が、国民全体の利益に反する、悪しき政治の強引な実現手段になってしまうであろう。 |
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