政治・経済・社会
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提言 政治・経済・社会
更新日:2008年3月11日

法人制度を再検討せよ

  「よくやった!」と、素直に財務官僚をほめたい。2003年2月、「公益法人の本来事業も課税、一般非営利法人は原則課税」などと、時代遅れの案に固執していた財務官僚とは、様変わりである。
  と言っても、税の基本理論に立ち戻ったというだけの話である。基本理論を無視し、国と社会と市民のニーズに逆らった古い考えを支持した政府税調の東大教授らは、どんな面持ちだろうか(シレッとされているだろう)。
  公益法人に対する税制が、市民にとって「危険がいっぱい」の方向に流れようとしていた2004年、私は、公益法人協会の太田達男理事長、租税訴訟学会の山田二郎会長らと組んで民間法制・税制調査会を結成、心ある有識者の参加を得て、政府の会議よりもはるかに突っ込んだ議論を行い、民間の力を生かすための22の対案を世に問うた。題して『これでよいのか政府の構想』(2004年公益法人協会発行)という。
  そこでの対案の骨子が「公益法人の本来事業非課税。一般非営利法人は収益事業のみ課税。公益法人の収益事業による収益を公益事業に使う場合の全額損金算入。公益法人に対する寄付の損金算入。公益法人に寄附した相続財産について相続税の原則非課税」である。そのすべてが制度として容認されることを、ここでは細かいことを言わず、高く評価する次第である。
  大きな問題点は、すでに法令が出来上がっている法人制度が、税制面に大きく遅れてしまったことである。法人制度は「収益事業である本来事業」をほとんど意識しないで組み立てているために、その公益性をどのような基準で認めるのか、その収益をどう扱うのかなどについて、考え方が定まっていないように見受ける。「公益とは何か」を至急詰め直し、税制面での進歩を、法人制度面から足を引っ張ることのないよう、制度を整え直すべきである。
(「月刊公益法人」Vol.37/No.2/2008掲載)
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