政治・経済・社会
(財)さわやか福祉財団ホームページへ
 
提言 政治・経済・社会
更新日:2008年7月29日

ボランティアに課税で人生唯一の・・・

  平成3年、私はボランティア活動を普及するため、検事を辞めた。
  ところが、平成13年、私が指導して設立されたボランティア団体に、税務署が課税してきたのである。その団体は、有償ボランティアの仕組みを採用していて、会員が団体の仲介で困っている他の会員を援助すると、助けてもらった方は1時間につき600円の謝礼を援助者に払い、200円を団体に寄付することにしていた。無償の支援だと、援助を求める方が遠慮して活動が進まないので、最低賃金以下のラインで基準額を設けたのである。
  そのような団体の収入が平成12年には227万円たまった。もちろんこのお金は、ボランティア活動を広げるために使われるのであり、個人には分配されない。
  ところが、税務署は、このお金は「請負業」による所得だとして法人税を課してきたのである。
  「団体は会員相互の助け合いを仲介しているだけで請負業ではない。公益のために使われる剰余金に課税するのは、納得できない」。私は、団体の弁護人として(ただし無報酬)、課税の取消しを求める訴訟を起こした。国税庁と財務省の担当官が「無償の役職員に給料を払えば、227万くらいすぐ消えるじゃないですか」と忠告してくれたが、そんなことをすればボランティアの心意気が消え、事業は消滅する。
  この訴訟は、私が弁護士として行った唯一の訴訟だが、負けてしまった。「頭の固い裁判官」と毒づいてウサをはらしているが、会員の活動をボランティアだと認定したのが救いであった。
(大蔵財務協会 週刊「税のしるべ」2008年7月21日掲載)
バックナンバー   一覧へ
 [日付は更新日]
2008年7月26日 「半減の長期目標合意で十分か」
2008年7月18日 「税の聖域」排除に情熱を燃やした
2008年7月18日 「やらなきゃならん」査察官の心意気
2008年6月10日 後期高齢者医療制度の役割
  このページの先頭へ
堀田ドットネット サイトマップ トップページへ