政治・経済・社会
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提言 政治・経済・社会

更新日:2010年11月4日

政治家をどう選ぶか
 政治家は政策で選びたい。
 しかし、個々の政治家がどんな政策を持っているかは、まずわからない。総理大臣になった方だって、小泉元総理以降の方はみなさん、総理になりそうになってあわてて政策を打ち出しておられる。これでは、平の議員については、わかりようがない。
 そこでかつては政党プラス人柄(主として顔つき)で選んでいた。政党は、左の共産党から右の自由民主党まで並んでおり、左は革新で平等尊重、労働者の味方、ソ連志向、右は保守で自由尊重、経営者の味方、アメリカ志向であった。政党による選択がおおまかな政策の選択だったのである。
 今はソ連が消滅し、絶対の平等は幻想と判明し、労働者に味方する手段がきわめて保守的であったりする。その上、一つの政党の中に大幅に異なる思想傾向の議員たちが混在しているから、政党の選択は政策の選択にはならない。
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 それでは、私たちは何を基準に政治家を選べばよいのか。
 具体的な政策がわからずに選ぶとなると、その候補者の価値観の傾向で選ぶしかないが、価値観を区分する基準として「自助」「共助」「公助」というのはどうだろうか。
 「自助」路線の典型は、小泉純一郎氏一派である。ブッシュ、レーガンなどアメリカの共和党はその元祖で、小さな政府、「官から民へ」、あなた方の責任で自由にやりなさいという路線である。みんなの党にこの路線の人が多く、自民党にもそこそこいる。
 「共助」路線は、かつてはなかったといってよい。あるいは公明党にあったかも知れないが、それは政治的主張にまではなっていなかったように思う。この路線を明確にしたのは鳩山由紀夫氏で、「新しい公共」とは共助のことをいう。鳩山氏の前に、自民党では加藤紘一氏が「共助」に共感していた。この路線はまだ熟していないが、新しい政治家にはこの傾向を見せる人も少なくない。
 「公助」路線は、税金で救済しようというもので、三つに分けられる。
 旧保守派は、保護して発展させた企業から吸い上げた税金を地方や弱小企業に提供し(公助)、発展を図ろうというもので、民主党の小沢一郎氏や国民新党などで勢力を保ち、自民党の古株にもいる。
 旧革新派は、企業から吸い上げた税金を経済的弱者に提供し(公助)、平等を目指そうというもので、この傾向の一派も、まだある程度の勢力を有している。
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 ここへ来て、新しい「公助」路線の一派が現れた。
 新公助派は、育児とか農業など、支援したい一定の層を選んでその全員に税金を提供するというもので、直接国民に提供する点で旧保守派と異なり(癒着が生じないメリットがある)、また、ある層の全員に提供する点で旧革新派と異なる(不必要な人にも提供するデメリットがある)。
 ただ、自助、共助、公助の一つに純化する政策はありえず、人により重点の置き方や三者の混合比率が違うに過ぎない。政治家を選ぶ時は、自分の生き方あるいは考え方に似た重点の置き方や混合比率の人を選ぶ方法があるだろう。

(信濃毎日新聞「月曜評論」2010年11月1日掲載)

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