政治・経済・社会
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提言 政治・経済・社会
更新日:2010年3月6日
友愛社会構築の戦略
  鳩山由紀夫総理が打ち出した友愛社会を実現するための戦略が見えない。思いやりと助け合いを基本原理とする非営利・共助の活動を飛躍的に拡大・発展させるために、次の三点を提言する。
  1 ボランティア振興法の制定
  地域にはさまざまなニーズがあるが、その中には、営利事業は利潤が上がらないため対応せず、行政も柔軟な態度で満たすことが困難なものがかなりある。子育て支援や高齢者・障害者・生活保護者などの自立支援、地域の居場所の提供や環境保護など、ヒトの生活分野におけるニーズに、そういう性質のものが多い。
  それを満たすのは人々の共助の活動であるが、アメリカに比べればまだまだである。ここは、1990年、99年のボランティア振興法に倣い、最低賃金に近い程度の謝礼金を支払うことにして各地にボランティアを興してはどうか。その登録には生活保護者、高齢者、障害者、学生を優先し、併せて就業につながる工夫をすることが望まれる。コンクリートからヒトへである。
  2 NPOの基盤強化
  経済基盤の強化が最優先課題である。私益追求の隠れ蓑(みの)になっていないと認定できたものはすべて、新公益法人並みに、本来事業非課税、寄付金所得控除の支援措置を講じるのが有効であろう。
  地方自治体も、市川市や神奈川県などのように、多様な支援措置を考案することが望まれる。
  3 非営利活動に対する規制廃止
  多くの職業規制法は、非営利活動がほとんどなかった戦後に立法されたため、いわゆる有償ボランティアに対しても営利事業と同等の規制をする仕組みになっている。それはコミュニティサービスの発展に対する大きな足枷(かせ)である。
  また、生活分野におけるサービスについては、営利事業よりも共助のサービスを優先する法制に転換すべきである。例えばNPOが行う自家用車による福祉運送が、地元のタクシー業者が合意してくれないとやれないというような法制(道路運送法七九条の四第一項第五号)は、おかしい。
  宅老所における宿泊を規制するなど、福祉分野でも「友愛」を損なう有害な規制がある。
  見直しが求められる。

(時事通信社「厚生福祉」2010年2月23日掲載)

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