更新日:2011年4月6日
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信頼の絆 |
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「被災地に温かさを送る募金デース」
東京の朝の通勤客にマイクで呼びかける。
中年の紳士が立ち止まって、募金箱に小銭を1枚、2枚。
「昼のそば代なんだよなぁ」と言いながら、やがて「エエィ」とばかり、小銭入れを逆さにして全部入れてくれる。
ほとんど素顔の地味な若い女性がいったん通り過ぎ、考え込みながら引き返して来たと思ったら、きっちり三つに折りたたんだ1万円札をポンと入れ、「領収証をお渡しします」と言うこちらの声に応えず、さっと行ってしまう。
「有り金がこれだけなんだよ」とコインを入れて立ち去り、しばらくして現れて、「会社から取って来たよ」と千円札を何枚か入れてくれるサラリーマン。
ホームレスとおぼしき年配の男性も、小銭を全部はたいてくれる。
「東京のサラリーマンも、けっこうボランティアの心があるじゃないの」と、これは、私のうれしい発見。
昨年の6月1日、新橋駅前をスタートして南周りに各駅2週間、サラリーマンのボランティア活動を訴える辻立ちを毎朝1時間。9か月と11日、田端駅の段階で東日本大震災。
さっそく義援金を募ったところ、ボランティア活動を訴えていた時は、ほとんど無視されていたのに、義援金となると、積極的に熱い思いを見せてくれる。
若者の反応がよく、女性の反応がよい。日本の若者、日本の女性は、特に心が美しいのである。
私たちは、その日寄付されたお金はその日のうちに、わがさわやか福祉財団のお金を同額加えて、被災地等で救援活動をしているNPOの仲間に振り込んでいる。彼ら、彼女らは、それをガスボンベその他の必要な物資に代えて、被災者にお届けしている。それを毎日、ボードに記して報告しながらの募金活動である。
善意は、信頼の絆を通じて伝わって行く。 |
(京都新聞「暖流」2011年3月27日掲載)
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