更新日:2014年1月30日
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市町村の覚悟 |
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二年後から、要支援者に対する生活支援が市町村に移される。ほかにも国は福祉分野のいくつかの魅力的な事業を、任意事業として提示している。
市町村は、どう対応するのか。
第一に問われるのは、市町村が「わが町を、住民が最後まで安心して暮らせる町にする」覚悟を持っているかである。その覚悟があれば、市町村は、住民が住み慣れたところで最後まで暮らせるよう、定期巡回随時対応型サービスや地域密着型のサービスを取り入れるであろう。あわせて、生活や心を支える活動を、大きな視野に立って組み立てようと努めるであろう。逆にその覚悟のない市町村は、無気力な町として魅力を失うであろう。
第二に問われるのは、市町村が住民に参加を呼びかける覚悟があるかである。乏しい財源の中で住民が満足するサービスを実現するには、住民に参加してもらうほかない。住民に参加してもらうには、市町村は、自らできる限りの努力をしていること、しかし財源(住民の負担)に限度があり、満足するサービス実現には住民参加以外に方法がないことを説明しなければならない。あわせて、住民が参加しやすい仕組み、たとえば地縁団体やNPOの基盤整備、団体立ち上げ支援、自発性、自律性を損なわない限度での活動支援(必要な情報提供やネットワーク支援など)を実施していく必要がある。さらに、住民参加の得られない地域で生活支援等の事業を行う際、その事業を優遇しすぎて、NPOの行う有償ボランティアなどの活動を圧迫しない配慮が求められる。
第三に問われるのは、行政のタテ割の壁を破る覚悟があるかである。住民参加は、財政(住民)負担軽減をもたらすことに重点があるのではなく、参加する住民にも対象となる住民にも、より大きな満足をもたらすことに重点がある。だからその形は助け合い(互助)になるし、参加者も対象者も、高齢者から子ども、障がい者、生活困窮者、健常者まで幅広いものとなる。それは自然な人の本性に由来する。しかし、国の事業も市町村の組織もタテ割である。市町村長が各種事業や組織を束ねて総合的、包摂的な事業にするには、強力な指導力が要る。市町村長にはやりがいに充ちた課題である。 |
(「厚生福祉」2013.12.27掲載)
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