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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2005年11月16日
社協とのネットワーク

 福祉NPOの世界の先達には、社協を嫌う人が少なくない。かつて、措置制度の時代に、その官僚的体質に反発したり、あるいは、ボランティアに何ができるかとバカにされたり無視されたりしたことが、感覚に染み込んでいるからであろう。
  しかし、福祉の構造改革で、社協は変わりつつある。私は、もとから、行政とも社協とも福祉企業とも医療ともネットワークを組むことが必要だと考えているが、過日、全国から集まった社会福祉法人の施設長さんたちに、要旨次のようなお話をした。みなさんのご意見はいかがであろうか。

 福祉の構造改革をお金の面からみると、措置制度であった時は行政が事業者に投入していた公的資金を、利用者に投入することに切り替えた改革だといえる。たとえば介護保険制度では、利用者の要介護度が決まると、その利用者に投入される公的資金の額が決まる。その額がどの事業者に支払われるかは、行政でなく利用者が決めるのである。
  そうなると、その上さらに社会福祉法人など特定の事業者に公的資金を投入するのは二重投資になり、その投入がないNPOや株式会社と同等に扱うべきだという議論が出てくる。
  これに対し、昨年12月の社会保障審議会福祉部会は、福祉サービスの安定的提供と、低所得者等への配慮を、社会福祉法人優遇の根拠に挙げている。しかし、説得力は十分ではない。社会福祉法人に投入する資金を、効率的に(必要とするところへ必要なだけ)株式会社又はNPOに投入すれば、安定的提供も弱者サービスも可能になるからである。
  私は、社会福祉法人に対する優遇措置の根拠は、理論的なものでなく、現実的な働きにあると思う。
  すなわち、社会福祉法人が、これまでに蓄積した能力を生かし、地域に小規模多機能の根を広げ、あるいはボランティアなどとの結び付きを広め、ネットワークの中核となるとともに、NPOや株式会社が対応できないサービスをしっかりカバーしてみせることである。そういう働きを現実にみたNPOや株式会社は、社会福祉法人に対する優遇措置を肯定し、支持するであろう。
  逆にいうと、そうならない限り、優遇される根拠は、失われていくであろう。

(『さぁ、言おう』2005年11月号)
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