更新日:2011年2月9日
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軽介護・生活支援をどうするか
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近く行われる介護保険制度の改正で、軽い介護あるいは生活支援が切り捨てられるのではないかという観測から、緊迫した雰囲気の中反対運動も起きている。
慌ててはいけない。そんな重大なことが簡単にできる筈がない。
昨年11月の社会保障審議会介護保険部会の見直しに関する意見でも、給付の重点化、効率化を図ることが適当かどうかを検討する必要があると言っているだけである。
私たちは、どういう立場を取ればよいのか。
そのような動きが出てくる恐れのあることは、何年も前から注意を喚起してきたし、私の提言も、折にふれ、行ってきた。
これを整理しておきたい。
○切り捨ては、ありえない。
重度であろうと軽度であろうと、そのサービスが、「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営む」(介護保険法1条)ために必要なものであれば、これを給付しなければならない。
それが、保険制度をつくり、維持するに当たっての国民・被保険者の意思である。
これにそむく政治判断はありえない。
したがって、財政を理由とする重点化は、ありえない。
○もっとも重要なことは、軽い要介護者や要支援者がそれぞれに必要とするサービスを適切に届けることである。
その仕組みを、各地域の実情に応じてしっかり構築しなければならない。それが、真っ先にすべきことである。
○特に、生活支援や精神の充足(ふれあい・いきがい)を、どんな仕組みにより提供するのが適切かは、地方の実情(住民の意識とサービスの整備の実態など)に応じて異なるところから、その構築は地方の選択に委ねるのがよいと考える。
○国は、介護保険料であれそれ以外であれ、地方がその仕組みを構築し、実施するのに必要な財源を確保しなければならない。
○そのような仕組みが構築された後、もしそれが介護保険制度によるサービスを求めていない(それ以上に良いサービスが提供される仕組みができた)のであれば、制度によるサービスは廃止されることになる。
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このように、身体面、精神面の全てを包括する、各個人のニーズを満たすサービスを提供するためには、私たちインフォーマルサービスの一翼を担うボランティアやNPOは、その役割を自覚して、しっかり活動を展開することが、いっそう強く求められる。
ネットワークを組んで前へ進んでいきたい。 |
(『さぁ、言おう』2011年2月号)
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