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提言 教育

更新日:2011年5月12日

新学習指導要領に期待する
 「学校・家庭・地域が力をあわせて、社会全体で『生きる力』をはぐくむ」という。その目標は素晴らしいし、ぜひそうしてほしい。
 しかし、授業時間が増え、教える内容も増える。
 その授業の内容についていけず、先生の言っていることがわからなかったり、集中力を失って聞く気がしなくなったりした子どもには、その授業は苦痛以外の何ものでもない。つまり、そういう授業は、「生きる力」(意欲)を削ぎ取るものとなる。そのリスクは、授業時間が増え、教える内容が増えるにつれ、高まる。
 そのリスクを減らして、「生きる力」をはぐくむにはどうすればよいか。これが新学習指導要領の最大の課題であろう。
 先生方がストレスにつぶされないように、対策を考えてみよう。
 これを本誌に書いていいかどうかわからないが、第一は、テストの点数を上げることだけを目指さないことである。どうせ全部満点の完全な人間など、どこにもいないのである。それより「生きる力」が付いていればよい。そのことを、絶対の目標とすることである。
 第二は、「生きる力」の育成を志向した「生活科」や「総合的な学習の時間」に力を注ぐことである。これらの授業には、すべての生徒が興味をもち、それぞれの能力を発揮して、いきいきとやれるはずである。そのように指導するのが、本物の(つまり、新学習指導要領の精神をもっともよく体現する)先生であり、そして、そのように指導して生徒たちの「生きる力」が伸びれば、先生冥利につきるであろう。
 第三に、興味をもってわからせる授業をすること。
 そして、第四に、もっとも重要なことであるが、「生きる力」を伸ばすのは、子ども同士の交わり、遊び、共同作業が一番であると自覚することである。だから「家庭・地域の力」が必要なのである。放課後の学校開放などを存分に活用してほしい。
(文部科学省「初等教育資料」2011年4月号掲載)
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 [日付は更新日]
2010年12月 1日 「子どもが主人公」
2010年10月20日 教育は親と先生の協働作業
2010年8月18日 教育の成果を調べよう
2010年7月 9日 エヴィデンスと論理
2010年6月23日 子どものことは 子どもに聞こう
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