更新日:2008年8月1日 |
よくなった新公益法人税制
|
|
平成12年、私は政府税制調査会委員に任命された。15年2月、公益法人、NPO法人、中間法人を合わせた非営利法人をつくり、原則課税とするという事務局案が突然示された。公益のための本来事業で剰余金が出たからといって、それを分配しないのに課税するというのは、実際問題としても、税の基礎理論からしても、ムチャな話である。しかし、学者の委員も異を唱えない。
私は直ちにNPOのリーダーたちと組み、反対運動を展開した。政治も市民の声に押されて動き、事務局案はつぶれた。私は慣例に反して、税調委員一期限りで再任されなかった。
政府は、ねばる。今度は、対象からNPO法人をはずして公益法人改革の検討を始めた。私は、公益法人協会の太田達男理事長、租税訴訟学会会長の山田二郎弁護士と組んで民間法制・税制調査会を起ち上げ、専門の学者や実務家らの知恵を結集、平成16年に政府案への対案22をとりまとめて公表した。
新公益法人の本来事業を非課税とし、本来事業に投入する収益は100%非課税、そして公益法人に対する寄付金を損金算入するという税制の採用である。
この主張には、「民間による公益事業の幅を広げることにより、財政難ではあっても市民の生活を心豊かなものにしたい」という私の悲願が込められていた。そして、平成19年、財務省が思いがけず、この主張を認めたのである。
あとは、新公益法人認定に当たる公務員が、市民の方を向いて仕事をするよう祈るのみである。 |
(大蔵財務協会 週刊「税のしるべ」2008年7月28日掲載) |
|