更新日:2011年3月9日
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飛躍する時を迎えた
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インフォーマル・サービスと呼ばれる私たちの活動に対する行政の理解が、画期的に進んでいる。
私たちは、1990年代、身体や生活の基礎を支える介護保険制度を望んで運動した。基礎が揺らいでいては、「ふれあい」の実現は難しいからである。
介護保険制度は、当初は円滑な実施に精一杯であったが、5年目の見直しの基本方針を提言する「2015年の高齢者介護〜高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて〜」において、地域で包括的なケアを行うこと、そして、インフォーマル・サービスと連携することを求めた。
この提言により、地域包括ケアはかなりの程度姿を現したものの、インフォーマル・サービスを含める仕組みの構築までには、進まなかった。それが、2008年、厚生労働省の中村秀一社会・援護局長のもとで組み立てられた「新しい支え合い」の仕組みの発表以降、流れができた。鳩山元総理の「新しい公共」の提唱という追い風もあって、2010年3月の「地域包括ケア研究会報告書」(田中滋座長)は、インフォーマル・サービスを含む多様なサービスを、地域包括支援センターも活用して、総合的に提供できる仕組みを構築することを目標として掲げた。多様なサービスの例として、「居場所の提供、見守り、移動支援、社会参加の機会提供、電球交換、ゴミ捨て、買い出しなどの日常生活にかかる支援」などが挙げられている。
それらの提言を受けて、厚生労働省は、これらの活動を2010年秋の補正予算及び2011年度本予算で、予算を付けて支援することにした。その概要は、本誌2月号及び本号の加藤昌之君の紹介文に述べるとおりであるが(詳細は、当財団HP「政策動向」参照)、一言でいえば、国はさわやか福祉財団がインストラクターの仲間たちと実践してきた活動の意義を認め、これを予算を付けて支援する体制をやっと整えてくれたということである。
支援を実践するのは市区町村である。
実践しようとすれば、市区町村は、私たちがモデルとして行ってきたネットワーク調査(住民のニーズとこれを満たすための社会資源の実情調査)を行わなければならない。そして、私たちが行っているモデル事業を、その地域において支援し、普及を図ることとなる。
私たちの目指す社会を、地域の行政などと組んで広く実現できる新しい段階に入ったのである。
この絶好の機会を失することなく、私たちは、市区町村の行政機関を含むいろいろなレベルの組織と連携して、大きな力を結集し、「新しいふれあい社会」の実現に大きく前進して行きたい。
今が、飛躍する時である。 |
(『さぁ、言おう』2011年3月号)
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