更新日:2007年8月29日 |
心躍る地域活動 |
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「キリスト教の牧師さんは生きている人の心を救おうと努めるが、日本のお坊さんは、人が死んでからお経を上げるだけである」
かつて、「月刊住職」という雑誌に仏教への提言を求められた時、こう書いたことがある。もちろん多くのお寺で善男善女にお説法をしておられることや、非行少年の救済に力をつくしておられること、阪神淡路大震災の時、曹洞宗のお坊さんが大活躍されたことなど、お坊さんの社会活動は承知の上で、刺激的に書いたのである。
ただ、私の心には「宗教家こそ本職の(?)ボランティアなんだから、もっと活動があってもいいのでは」という思いが消せない。
だから、今回、わが家が信徒である浄土宗から、「法然上人の8百年大遠忌に向けて、地域の共生(ともいき)の活動を奨励したいので、その選考委員長をしてほしい」という話が来た時、喜んでお引き受けした。「宗派のいかんを問わず、僧侶が地域と協働して社会貢献している場合は、特に共生賞としてその活動を奨励したい」というところが胸に落ちたのである。
去る8月1日知恩院で第一次選考会が開かれた。共生賞の応募数は、一般のそれのほぼ4分の1であったが、それでも北は北海道から南は大阪まで(!)23件来た。数はともかく、その内容は心躍るものがある。地域の小学生たちと「小さな村」をつくり、子どもたちを「衆生済度」している活動、僧侶が地域と協働して展開する障害者や引きこもり、ホームレスなどの就労活動やアートによるいきがい活動、1月17日朝5時46分、全県全寺が追悼の鐘を鳴らし読経する災害防止活動、難病の子や親への宿泊サービスなど、なかなかの心意気である。
そういう活動者が9月10日午後、知恩院(浄土宗宗務庁)に集まって公開の場で活動を報告をし、当日その中から受賞者を選んで発表することとなっている。
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(京都新聞コラム「暖流」2007年8月26日掲載) |
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