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提言 福祉・NPO・ボランティア
更新日:2009年12月28日
最高の京みやげ
  赤字でも寄付し続けるというところがすごい。日本の会社には、まずない。
  話題の主は、オフィス用の文具・家具等の販売会社カスタネットの社長植木力さん、51歳。社会貢献と企業経営を両輪として行う経営者として、すでに京都では名の通った存在と聞く。
  難病を患った奥様の世話をするうち、人を支えるボランティアに目覚めた植木さんは、2001年ベンチャー企業を興すとすぐ、カンボジアの子どもたちを救う寄付を始めた。赤字の中、社会貢献を続ける彼の姿は、全国でも際立っていたので、04年度、私は、厚生労働省と協働して、彼を表彰させて頂いたことがある。
  この大不況の中、まだ頑張ってられるかなと気になっていたので、過日、京都を講演で訪れた際、彼の社会貢献活動の拠点である「カスタくんの町家」に立ち寄った。堀川高校の裏通りにあるこの町家を、彼は無料開放しており、学生たちがここでベンチャー企業の勉強会を開いたりしている。
 「どうせ買うなら、ええことしてる植木のとこから買うてやろうというので、大阪あたりからも注文を頂けるもんですから、きびしいけどしっかりやれてます」と植木さんは元気であった。トナーカートリッジの売り上げの1%をカンボジア国立小児病院の子どもたちに寄付する活動も始めた。そこでは100円あれば栄養バランスのとれた給食3食が食べられるという。
 「この町家の開放のほかに、京都の地元に対する貢献活動もしてるの?」と聞くと、「障害者に働く場をつくっている」と言う。彼らの仕事として注文している品の一つに、点字用紙を使った手提げ袋に入ったクッキーがある。牛若丸や舞妓さんなど京都ゆかりの人物をかたどったクッキーは、どれも実にかわいい。買って帰って仲間たちに配ると、特に女性職員に大人気であった。最高の京みやげである。
(京都新聞コラム「暖流」2009年12月13日掲載)
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