更新日:2012年2月25日 |
これからの震災ボランティア |
|
「震災ボランティア激減」とメディアが伝える。ピーク時の10分の1で、震災地の関係者は、「震災の風化が進んでいる」と心配しているという。
そのとおりで、昨年の5月ころにはどこでもみかけたボランティアは、あまり姿を見せない。
しかし、被災者を思う心が冷えたわけではない。そこを誤解してほしくないのだが、今はもう、ガレキの処理など、大量の人手を必要とする緊急時のボランティアはほとんど必要としなくなった。たくさんの人がどっと行っても、することがない。だから、行かなくなったのである。
阪神・淡路大震災の時もそうだった。3カ月たったころは、緊急処理を要する仕事はあらかた片付き、食品など生活必需品を売るお店なども復活した。それにつれて、ボランティアは姿を消していった。
そのあとは、生活の不便さを補い、ふれあいのあたたかさで被災者の心を包み、復興へと後押しするボランティアが残る。復興への息の長い努力を、しっかり、じっくりと応援するボランティアである。
その活動の主体は、あくまで被災者たち、地域の住民である。
身体と心が活力を失わないように、語り合い、集って楽しむ場を設ける。健康チェック、マッサージ。足湯は、まさにあたたかいふれあいを生む。食事をつくったり、編物、飾り物づくりなど、共同作業も、手より口の方がよく動く。雪の舞う仮設も、ふれあいの間だけは華やかである。
そして、特に今回の大震災で不可欠なのは、町全体を自分たちが住みやすいように復興していくための語らい。
これができている地域の人々は前を向いて力強く、悲しくも夢を持てない人々は、暗く沈んでいる。そういった方々の心に届くのは、「私たちは決してあなた方を忘れてはいません」というメッセージ。それを届けるだけでも、そのボランティアの効果は大きい。
私は、これからも一層多くの方々の心の声を届けながら、復興を応援していきたい。 |
(京都新聞「暖流」2012年1月22日掲載) |
|