更新日:2009年2月21日 |
手紙による交流
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「彰一おじいちゃんへ
お元気ですか。先週電話をして下さった時、茨城はとても寒いと言われていましたが、風邪などひいてませんか。福岡もだんだん寒くなってきましたよ」
女子高3年生の書いた手紙の書き出し部分である。「おじいちゃん」といっても、家族ではない。九州女子高等学校の生徒たちがやっている、施設の入所者との手紙による交流で知り合った高齢者である。
「野の花だより」と題する交流活動は、同校の橋下京子先生の音頭取りで、平成2年に始まり、今も続いている。
「うれしいお手紙に涙が出ました。何度も読み返しています」
生徒たちの手紙が孤独な高齢者の心をどれだけ暖めてきたか、それは届いた返事からひしひしと伝わる。しかし、返事が来ないことのほうが多い。生徒たちははじめ失望するが、施設の職員と話し、相手はもう返事も書けない状況だが、何度も手紙の朗読を頼まれると聞き、自分の想像力の欠如を恥じる。そして、電車で立っている高齢者にすぐ席を譲る娘に成長していく。
小学生も、さまざまに手紙を出している。6年間、同じご近所の高齢者に、敬老の日ごとに「はあと・めーる」を届けるという小学校もあれば、6年生になると、毎週火曜日に手紙を書き、地域の配食サービスと共に届けてもらうという小学校もある。
もちろん、中学生たちもやっている。中学3年生の感想文から抜粋する。
「手紙を出すと、お年寄りからたくさんのお礼の手紙や返事をいただく。若い頃の思い出や戦争の頃の話が書いてあったり、逆に部活動や勉強に対する励ましが書かれてあったりする。(中略)ぼくは生徒会の本部役員なので、お年寄りの名前をカードに書き写したり、とても大変だが、お年寄りや参加した生徒に喜んでもらえる活動をしていることに自分自身の喜びを感じている。」 |
(「逓信協會雑誌」2009年1月号掲載) |
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