政治・経済・社会
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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2006年1月10日
新春巻頭言  人々にいきがいと幸せと平和を

   すべての人が自分を生かせる社会づくり
  今年、世界では、戦争が絶対起きないように祈っています。
  アジアでは、中国及び韓国とのしこりが解けるよう、そして、アジア諸国との連携が、いろいろな面で進むよう、みんなで努力したいと願っています。
  日本では、高齢少子化の進展に伴う、市民の不安をぬぐい去り、みんなが夢と希望をもって、いきいきと暮らせる社会を実現しなければなりません。
  そのためには、孫、曾孫の時代まで見通せる、しっかりした仕組みの社会保障制度をつくる必要があります。どういう見通しをもとに、どういう考え方で仕組みをつくるかについて、国民、市民が、政治的立場や経済的立場を越え、人間という立場で考えて、合意することから始めなければなりません。年金について党派をまたいで協議しようという動きを後押ししつつ、市民サイドからも提言していきたいと思います。
  また、働き方を選べる社会へ転換することも大切です。年金や性別などに関係なく、働く人の意思で、それぞれの人の能力を存分に生かすことができる職場を選び、働く時間や休む時間を自分で決めることができる社会、そして、転職や休職が不利にならない社会にしたい。働く人たちは、そういう働き方を求め出しており、少しずつですが、雇う側もこれに応じる姿勢を見せ始めています。若者はもちろんのこと、子育て中のカップルも高齢者も、すべての人が、その時々の自分を生かすためには、働こうとする方が、自分に合った働き方を選べなくてはなりません。
  教育も、逆行しないでほしい。子どもたちが、それぞれに、自分が生かされていると実感することが、すべての教育の基礎であり、また、最終目的なのです。大人が仕切る管理教育に戻らないよう働きかけながら、人間教育を提言し、実践していきます。

   ブロック化の意義と重要性
  今年、さわやか福祉財団は、まず、ブロック化の基礎を固めることを最重点とします。
  介護保険制度の見直しで、介護保険法は、「尊厳の保持」という、人類にとって最高の理念を掲げました。認知症であると否とを問わず、それぞれの人の尊厳を支えるためには、地域において、ヘルパーさんから医師まで、さまざまなプロが、本人や家族、近隣の人々やボランティア、各種のNPOなど、関連する人々としっかりネットワークを組んで、それぞれの人の身体や思いに応じたサービスを、包括的に提供することが必要です。
  介護保険法は、そのようなサービスを提供するために、3万人に一つ程度を目途として、地域包括支援センターを設けることにしました。しかし、このセンターが包括的支援を行う拠点になるかどうかは、ふれあいボランティア活動をしている団体や医師をはじめ、多様なサービス提供者がこの拠点の活動に参加し、活動の幅を広げていくかどうかにかかっています。
  それぞれの地域の実情に応じてネットワークに参加し、これを広げつつ、自らのふれあいボランティア活動をトータルな輪の中で展開すること。介護などの仕組みの急速な進展に伴い、ふれあいボランティア団体は、このような視点に立ったネットワーク活動が不可欠な段階を迎えたのです。
  私たちがブロック化を進めるのは、地域の実情に応じてその地の団体のネットワーク活動をリードしていただくことが必要となったからです。昨年には全国で12のブロックがスタートし、それぞれに規約と、大まかな工程表を定めました。それぞれのブロックは、インフォーマルサービスを含めた地域包括ケア体制を構築するモデル例をつくることを目指すなど、それぞれの手法で、ブロック活動に取り組み始めています。やがてはこのブロックが、県単位から市町村単位へと細分化し、地域の特質に応じて「新しいふれあい社会」を創造する活動がきめ細やかに展開されるよう、夢を持って着実にみんなで前進していきたいと願っています。

   ふれあいボランティア活動で日本社会の基礎をつくる
  もちろん、財団は、これまで進めてきた地域ネットワークのためのフォーラムや自治体への働きかけ、時間通貨の普及やスポーツさわやか広場などの活動をしっかり進めますが、それらは、同時に、各ブロックに対するモデル事業という意味を持つことになります。
  また、厚生労働省から受託している勤労者マルチライフ支援事業と文部科学省から受託している地域子ども教室推進事業は、現状では全国規模で進める必要があるため、今年も、ブロックではなく、財団が直接、全国にそれぞれの事業の推進組織をつくって展開いたします。
  ただ、各地で、ボランティア活動に参加する現役サラリーマンや学生、生徒たちが生まれてきたときは、その力を、新しいふれあい社会の創造に生かしてほしいと思います。
  *  *  *
  子どもも高齢者も、働いている人もいない人も、それぞれが何らかの形でボランティア活動にかかわることにより、すべての人が、自分の大切さと人の大切さに気付き、自分の存在意義を生きがいの実感として確認するとともに、人とのふれあい、支え合いを自然に実践するように変わっていきます。
  それが教育の効果を生む基礎となり、また、いきいきと働く活力の基となります。そして、自分と人々を大切にする思いは、必ず平和を求める心とつながります。
  さわやか福祉財団は、ふれあいボランティア活動が、日本社会の基礎をつくること、そして、人々にいきがいと幸せと平和とをもたらす力を持つことを信じて、その普及のために、今年も、実情に即した活動を展開していきます。ぜひ、一緒にやりましょう。

(『さぁ、言おう』2006年1月号)
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 [日付は更新日]
2005年12月16日 地域包括支援のネットワークモデルをつくろう
2005年11月16日 社協とのネットワーク
2005年10月6日 「協働」の法的仕組み
2005年9月16日 要支援者への対応
2005年9月16日 寄附の持つ意味
2005年9月16日 目指す「新しいふれあい社会」
2005年9月16日 さわやか丸の新しい針路
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