更新日:2009年11月25日 |
お寺はあなたを待っている
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見出しを見てぎょっとしないでいただきたい。お葬式を出すのを待っているという意味ではなく、あなたと共に地域活動をしましょうという意味である。
この呼びかけが出たのは、法然さんの八百年大遠忌を記念して知恩院さんが開いた「共生(ともいき)・地域文化大賞」の表彰パーティーである。呼びかけたのは、大賞の運営委員長である大蓮寺(大阪市天王寺区)住職の秋田光彦さん。秋田さん自身、大蓮寺を地域活動の拠点として開放しておられるが、残念ながらそういうお寺はまだ少ないのではなかろうか。
しかし、そう願う市民は多い。
共生大賞のアイデア・企画部門には、2千を超える応募があったが、たとえば8歳の女の子は「おてらでたからものさがし」、10歳の女の子は「お寺でおじいちゃん、おばあちゃんと、いろんな事をして遊ぶ」と、地域への開放を望んでいる。中学生になると男の子も女の子もがぜん精進料理に興味が集まり、料理法を習ってダイエットしたいという思春期らしい望みも持っている。僧侶の生活1日体験という案はいいが、お経にあわせてヒップホップダンスというのはいきすぎか。
大人たちもお寺の地域開放をさまざまに提言しており、「お寺でエンディングフェア」「お寺でランチ」「食育の発信基地」「共生の庭プロジェクト」「大屋根全面をソーラーパネルにして地域の電気自動車の充電所」など。地域のボランティア活動者にお寺が地域通貨を渡し、それで永代供養料を払えるというアイデアには、お寺さんが渋い顔をされるかも。
本年度の大賞受賞者はNPO北九州ホームレス支援機構で、ホームレスを人(ヒューマン)として支えようという理念と実践が高く評価されたのだが、リーダーの奥田知志さんは、牧師。「仏教と連携してやりたい」との熱い呼びかけに、浄土宗の高僧たちが揃ってうなづいておられたのが印象的であった。
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(京都新聞コラム「暖流」2009年11月8日掲載) |
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