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提言 生き方・その他
更新日:2009年5月18日

高齢者も裁判員をやろう

 昔、アメリカ最高裁のダグラス判事89歳が、同僚のハーラン判事85歳と、ワシントンDCの街を散歩していた。昼休み時間である。すると、向こうから、胸がグイと突き出たスペイン系の美人がやってきた。彼女とすれ違った2人の判事は、そっと振り返った。張りつめたお尻の動きにため息をつきながら、ハーラン判事が言った。「すごくいい女だな」。すると、ダグラス判事が言った。「ぼくが君くらい若かったら、すぐ追っかけていって口説くのにな」。
  もちろん、これは作り話である。昔の作り話だから、セクハラ気味なところはお許し願いたい。
  アメリカの連邦最高裁判事には、定年がない。これは事実である。だから、70代はもちろん、80代の判事もいるし、過去には90を超える判事もいた。自分から辞めると言わない限り、辞めなくていい。そして、辞めずにいる判事さんたちは、お元気である。私も何回か最高裁の審理を傍聴したが、日本と違って、アメリカの最高裁判事は、法廷で弁護人にどんどん質問する。それがすべてツボを突いていて鋭い。弁護人は、即座に正しく答えられないと、その事件は、まず負けになる。そして、これも日本と違って、どんどん判決書に自分の意見を書く。学者の論文も及ばない、精密な論理を展開する。
  老判事が、しっかりした口調で弁護人の弱点を突く様子を見ていると、自分の老後に希望が出てくる。自分の仕事に責任を持ってしっかり取り組んでいると、ここまでしっかりしておれるのだと、うれしくなる。
  いよいよこの5月から実施される裁判員制度では、70歳以上の人は辞退できることになっている。しかし、せっかく積んできた人生の経験である。むざむざ辞退するのはもったいない。せっかくの機会だから、これを人のために生かしたい。検事や弁護士が参るような、深い質問をしてみませんか。
(京都新聞コラム「暖流」2009年3月29日掲載)
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